月経前にイライラしたり、落ち込んだり、塞ぎ込んだりしてしまう…
この症状の辛さには、2種類あると、わたしは考えます。
一つはもちろん、「その症状自体」が辛い。
自分が自分でなくなるような、、
コントロール感覚を失い、
自分ではどうしようもできないほどの感情の波に飲まれてしまう。
生理が来ると終わる…とは分かっていても、
この「不穏」が永遠に続いてしまうかのような絶望…
本当に辛いですよね。
もう一つの辛さは、「身近な人を巻き込んでしまう」辛さ、です。
これは月経前症状で悩む方特有の、大きな悩みの一つではないでしょうか。
実際のご相談でもかなり多くの方がお話しされます。
「いつもなら気にならない事が気になり、つい喧嘩になってしまいます」
「いつもなら笑顔でスルーできる事が、どうしても我慢できなくなります」
「被害者意識が強まり、ちょっとした一言に傷つき、相手を困惑させてしまいます」
…
これは、あなただけではなく、多くの方が悩んでいます。
*もちろん「月経前」だけに、イライラを抑えられないのか?
他の対人関係の場面でも、同じように問題を抱えていないか?
をチェックするのはとても重要な事です。
(もし当てはまるならば、病院の受診や心理カウンセリングも検討しましょう。)
ただ、これらは複雑に絡み合っており、単純に切り離せません。
なぜなら下記のような対人関係の悪循環を引き起こすからです。
①月経前の身体的な不調により、感情がコントロールできなくなる
↓
②身近な人に感情をぶつけるなどして巻き込んでしまい、
関係が悪化する/不信感を持たれる/自分を責める
↓
③月経が終わって調子が良くなった後も、
「感情をぶつけた/ぶつけられた」という事実は残るため、
関係の修復が一筋縄ではいかなくなる
↓
④また月経の周期がやってくる
↓
⑤これを毎月毎月繰り返すうちに
「イライラしたり感情的になったりするのは性格の問題だ」と
相手も自分も認識するようになる
…
この悪循環は本当に辛いです。
自分を責めるばかりで、どこから手をつけたらいいのか分からなくなりますよね。
身体からくる不調のせいで、あたかもそれが自分の性格なのだと思い込み、
そして、その思い込みは年月を重ねるごとに強固になっていきます。

これを解決し、二重の辛さから逃れるためにはまず、
「心身ともに調子の良い自分を、体感として知る事」が大事だと、
わたしは思います。
朝気持ちよく目覚め、伸びをしながら新鮮な空気を吸い込み、
晴々とした気持ちになる。
よく晴れた空や、力強く生きる緑を見て
爽やかな気持ちになる。
体が軽く、ストレッチや運動をして少し汗をかいて
シャワーを浴びて朝ごはんを食べて身支度にとりかかる。
飼っているヤモリを観察して、
今日も元気で可愛いな、と愛おしい気持ちでいっぱいになる。
パートナーや同僚との会話も心地よく、冗談を言い合ったり
笑いあったりして、幸せな気持ちで心が満たされる…
どのような状態が望ましいかは人それぞれですが、
わたしの「調子が良い状態」は上記のようなものです。
食事、睡眠、漢方などで身体を整えて
「自分の調子が良い状態を知る事」は、
「調子が悪い時の自分」との違いを知るために、必要です。
(ただ、どん底にいる方はこの状態を知ることさえも難しいかもしれません。それはまたの機会に記事にします。)
わたしも体調管理には万全を期していますが、
完璧ではないので、今でも月経前の不穏に襲われる事はあります。
しかし、明らかに「いつもの調子が良い時の自分」と異なるため、
渦中にいるときでも、自分の異常事態に気づき、対処することができます。
・朝起きた瞬間、絶望感に襲われ、朝の支度がはかどらない
・感情が動かず、楽しいや嬉しいという気持ちが湧かない
・話しかけられるのも話すのも億劫になる
・昔のことを思い出してイライラしたり、涙が出たりする
明らかにいつもの「調子が良い時の私」とは異なりますよね。
このような時は、”根性論” “精神論” でなんとかしようとしても無理です!
身体から異常事態のアラームが鳴っていることを無視してはいけません。
そしてそのアラームに誰よりも早く、あなた自身が気づいてあげないといけません。
そのために、「いつもの調子が良い時の自分」をきちんと知っておく必要があるのです。

このような「アラーム」が鳴っている時、
わたしはいち早く自分の変化に気づき、まずパートナーに知らせます。
「月経が近づいてきており、今のわたしは攻撃的に/悲観的になっています」
そして、(これが最善なのかは分かりませんが…)「物理的に」距離をおくようにします。
パートナーはPC作業場に、わたしは寝室にこもり、
意図して、物理的に接触しないようにして、必要最低限のコミュニケーションで済ませます。月経についてはパートナーへの理解が必要だとよく言われますが、わたしにとっては、「物理的に離れていてほしい」というのがどうしても必要な理解でした。人によって理解してほしいポイントはきっと様々だと思います。
漢方相談する立場の人間が、このようなレベルで良いのだろうか?
説得力を持てるだろうか?と、書きながらとても葛藤していますが、
人間の体は完璧ではなく、どんなに漢方や養生を頑張っても頑張っても、
本当に辛いですが起きる時は起こります。(見直しが必要な時なのでしょう)
それに対しても現実的に対処する術を、わたしが身をもってお伝えできればいいなという思いです。
わたしの症状が出ている時は、話し合えば分かり合える、相手に気を遣ってもらえば、
優しさを用いてもらえば解決できる、というものではありません。
(そもそも相手から気遣いや優しさを引き出すのは健全なコミュニケーションとは言えませんね!)
更に言うと、「認知の歪みが原因だ」「今持っているものに目を向ける」「ありのままの自分を受け入れる」etc,etc………などのよく言われる思考も、残念ですが “この場面では” 意味を成しません。(より良く働く場面は他にあります。少なくともこの渦中ではありません)
そのときに必要なのは、自分で自分の置かれている状況を的確に把握し、
行動や態度ではなく「言葉にして」相手に伝え(←重要です)、
必要であれば適切な距離を取り、嵐が過ぎ去るのを待ちます。
漢方を飲んだり、ゆっくり睡眠を取ったり、良いとされる食べ物を食べたりもします。
月経前に何も症状がなく、普通に暮らしている人もいるのになぜ…?
と、これまで何度も何度も思いましたが、
私がまずこの症状とうまく付き合い、乗り越えていくことで、
同じように苦しむ方の力になれたら、大丈夫だよ、道はある、と
勇気を与えられたらなと思います。
ですが、大前提として、漢方飲んだら、かなり楽になることが多いです。
これは私が診ている患者さんも証明してくれています。
油断したり、大きなストレスが溜まっていた周期の私は、情けないですがこの記事のような感じです。
私もまだまだですが、上手に付き合っていく術は、持っているつもりなので、、これからも公開していきます!一緒に頑張っていきましょう!(*´ー`*)
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